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配信日時:2012年7月24日 18時00分

Xbox 360

Xbox 360『ルートダブル』超絶ネタバレ全開ロングインタビュー後編――メッセージウィンドウに隠された真実とは?


 どうも、ごえモンです。イエティから6月14日に発売されたXbox 360用ソフト『ルートダブル -Before Crime * After Days-』のネタバレロングインタビュー後編をお届けします。
 先日掲載したインタビュー前編では、本作の原案・監督・プロデューサーを務めた中澤工さんに、タイトルやパッケージに込められた意味、移植の有無、その他さまざまな裏話を伺いました。後編では、“情報エネルギー”を採用した経緯やAルートの裏タイムリミットの解説、メッセージウィンドウに隠された真実、ファンディスクなどについて聞いています。
 前編と同じくネタバレ全開でお届けしていくので、グランドエンディングに到達していない人は、自己責任で読むようにしてください!
※このインタビューは、2012年6月28日に行われたものです。
インタビューには、『ルートダブル』に関する致命的なネタバレが数多く含まれています。絶対にグランドエンディングを見てから読んでください。
■ビヨンド・コミュニケーション(BC)の設定は元々ウイルスだった
――(インタビュー前編で)“情報”というキーワードが出てきましたが、本作に登場する“情報エネルギー”は、元々、企画の根底にあった設定なのでしょうか?
 “情報エネルギー”はBCの設定を詰める過程で取り入れました。まず最初にあったのは、ある自己問答でした。この企画のテーマを扱うにあたって、2つに分かれた主人公を結びつけるものって何だろう? ──プレイヤーだ。プレイヤーと主人公を結びつけるものって何だろう? ──感情移入だ。感情移入はなぜ生じるのだろう? ──主人公の気持ちや感覚を共有できるからだ。プレイヤーの意思を主人公に反映できるからだ。では、この概念を作中に取り込めないだろうか? ──言葉を介さずに人の気持ちを理解したり、伝えられる能力を主人公が使えるようにしよう。──それって超能力? という流れでBCが生まれました。
 でも、その時点ではそんなに深く考えていなくて、原理はわからないけど、思考を伝播できる能力があることだけが決まっていました。能力といっても、魔法ではなく、科学的に説明できるようなものにしたい、という路線でいろいろと考えた結果、最初に思いついたのは意思を伝達できるウイルスでした。
――ウイルスにすると何かを彷彿とさせてしまいますよね。
 そうなんですよ。このへんの設定を考えていたころ、某同人ゲームの家庭用ゲーム移植を担当することになりまして、その作品設定と酷似してしまったので再考を余儀なくされました。検討を続けた結果、素粒子ならどうかと思いつきました。素粒子は、目には見えないけど宇宙創成のころから存在するもので、BCも“はるか昔から存在したかもしれない存在感”を出したかったんです。
 ただ、自分の物理学の知識には限界があるので、これ以上は練り込めないと感じた時に、Twitterで「設定構築に協力してくれる人求む!」と募集しました。そうしたら、物理を専攻している方々が、ダーっと集まってくれて。その人たちに、固有名詞とネタバレは伏せつつ「こういうことが可能で、こういう制約をつけたい。これを科学的に表現したくて、今のところここまで考えているけど、穴があったら突っ込んでほしいし、もっといい案があったら提案してほしい」と伝えました。やがて、「ここはおかしい」とか「素粒子はこんな働きはしない」とか、「素粒子じゃないけど、こういうアイデアはどう?」と多くのアイデアをいただきました。
 そんな中で、1人の大学院生から「最近は情報をエネルギーととらえる研究もありますよ」と教えてもらいました。自分なりに調べてみたら、これはいろいろと話に絡められる! と確信し、1カ月くらい調査と熟考を重ねて構築したのが、情報力場仮説とIGF2R遺伝子の設定です。ちなみにIGF2R遺伝子そのものは実在する遺伝子で、図書館で読んだサイエンス雑誌から着想を得て、『ルートダブル』向けに大胆なアレンジを加えました。
 一度まとまった後も、実際に素粒子研究をしているスペシャリストに監修してもらい、納得できるまで修正を繰り返しました。物理に詳しい人が見ても、よほど重箱の隅をつつかない限りは破綻しない設定作りを目指しました。“なんでもアリ感”や“魔法のような万能性”を排除して、“リアルな存在感”を出したかったんです。
――ゲーム中のBCの説明や世界観を見ていると、確かにスッと頭に入ってきますし、「これがその世界のリアルなんだな」と考えられました。
 そんな理想の設定を目指して、情報力場仮説の素案ができ上がったころ、別の方から“マクスウェルの悪魔”について教えてもらいました。僕はこの思考実験を知らなかったのですが、ちょうど最近になって、“マクスウェルの悪魔”を再現した(2010年11月発表の“情報をエネルギーへ変換することに成功”した中央大と東大の共同研究成果)と話題になり、添付されていた研究概要を読んでみたら『ルートダブル』に絡められると感じました。
――さまざまな協力者の力もあり、現在の設定が完成したとのことですが、初期の設定はどのようなものだったのでしょう?
 最初は、分子または原子で、まだ科学者に発見できていない媒体があって、それを媒介にエネルギーを伝えられる現象、程度に考えていました。例えば電気なら電子ですし、音なら空気、そういったもので、まだ未知なるものがあるんじゃないかなと。
――エーテルのような感覚でしょうか?
 そうですね。まだ見つかってはいないけど、これから見つかるかもしれないもの。調べていくと、原子や分子などの大きなものは、もう見つからないなんてことはありえないらしいんです。それで現在の技術でも見つけられない説得力のあるもの……詳しい理由は専門的になるので端折りますが……素粒子に行き着いたんです。素粒子は物体を構成する最小単位──“ルート(根源)”でもありますしね。
――その新たな素粒子を媒介として使用するBC能力は、絞って3つの能力だったのですか?
 BC能力は絞って3つでした。元々3段階と最初から決めていて、最終的な究極能力は、プレイヤーと主人公のような関係を“象徴”するものにしたかったので、他人と完全に心を重ね合わせて、その人の精神活動を知覚でき、行動にも関与できるものであると考えていました。それを踏まえて、初期段階では、気持ちを伝えるだけ、ないしは気持ちを読むだけの能力が使えるとイメージしました。
 裏話をすると、当初はエンパシーをもっと簡単な能力として考えていました。でも、よくよく考えてみたら、心を読むほうが難しいだろうとテレパシーと入れ替えたんです。
インタビューには、『ルートダブル』に関する致命的なネタバレが数多く含まれています。絶対にグランドエンディングを見てから読んでください。
■鹿鳴市のモデルはジョージ・オーウェルの『1984年』
――強いBC能力を持つ人間は寿命が短いという設定ですが、エンディング後の夏彦たちはどうなってしまうのでしょう?
 作中では、美夜子が解決作の糸口を見出した、という未来への希望が見出されました。その後どうなるかは各自で解釈してほしいなと思います。ひょっとしたら、すべていい方向に向かうかもしれない。あるいは、結果としてBCが失われてしまうかもしれない。またあるいは、人類が滅亡に向かうかもしれない。はたしてBCが人類にとっていいものか悪いものか? どう受け止めるのかは、作中から感じ取った印象から自由に想像してみてください。
――舞台が鹿鳴市だったので、外部の世界情勢は詳しく描かれませんでしたが、そこはどうなっているのでしょう?
 外のことは、まだ公式で決めていないことが多いです。決まっているのは2つだけです。作中でも描かれていますが、鹿鳴市をはじめとした政令指定機密都市を除けば、コミュニケーターに対する不信感や恐れは、著しく大きなものになっています。悠里のような女の子は心穏やかに暮らせないのです。また、日本という国は行き詰まりを見せていて、今以上に閉塞感がある社会になっています。それを打開するべく、BCという新しい産業、新しい分野に率先して取り組もうとしたのです。なので、どちらかと言うと明るい未来ではなく、ちょっと閉塞した“ディストピア”的な世界です。
 元々、本作の舞台はディストピア的世界を考えていました。モデルにしたのは、ジョージ・オーウェルの『1984年』という小説だったのですが、そのままでは現実感が出ないので、どんどんアレンジしていき、情報が統制されて行動の自由は制限されているけれど、徹底的に環境が整えられたクリーンな街、という今の鹿鳴市の設定になりました。
■Aルートグッドエンドは時間変数がカギ
――Aルート体験版では必ず夏彦が死んでしまってノーマルエンドになりますが、そのノーマルエンドに到達する仕組みを解説していただけますか?
 Aルートでは、9時間経過すると出口が開くので、それまで生き延びるのが目的になります。でもその裏では、夏彦がNエリアで血を大量に流し、どんどん死に向かっています。夏彦はセンシズ・シンパシーによって渡瀬と精神が重なり合っていて、その結果、仮死状態となっているのでかろうじて生きています。なので、渡瀬は夏彦が死ぬ前にNエリアへ行かないといけない。
 ですがシナリオの分岐によって、渡瀬はしなくていい道草をしたり、いらないことに時間を消費してしまします。そうなると、裏のタイムリミットに間に合わずに夏彦が死んでしまいます。夏彦が渡瀬をサポートしないと、恵那は殺されてしまいますし、サリュは誤って殺してしまいます。結果、みんな死んでしまう結末になります。グッドエンドは、夏彦の能力によるサポートを受けないと、絶対に到達できないエンディングなんです。
――そのタイムロスの1つが、悠里の死体を捜すか捜さないかの場面ですね。
 悠里の死体を捜す場面は1つのキモですね。ただ、あれはBルートを先にプレイしていないと強制的に捜しに行って、必ず6分が経過してしまいます。それ以外の間違った行動は3分を消費し、合計で9分のロスをすると夏彦が死んでしまいます。なので、Aルートを先にプレイした場合は、1カ所でも間違うとノーマルエンドに直行してしまうんです。Bルートをプレイしておけば、分岐によって回避できる可能性が生まれるので、あと2回は間違えられるようになります。つまり、BルートをクリアするとAルートの難易度が少し下がるんです。
 風見が「ここは調べる必要がありません」と言っているのに調べたり、宇喜多が調べたフロアをもう1回調べると、“時間を無駄にしてしまった”というニュアンスのメッセージが表示されます。実際に、メニュー画面で確認できる現在時間もその分経過しているので、そこがヒントになっています。
――これはある種のミスリードですよね。9時間という題目を強く意識させていて、実は、9分間が重要という。
 これはAルートを仕上げる過程で月島さんから提案があったアイディアなんです。僕らは“時間変数”と読んでいるのですが、その時間変数の分岐を入れてみてはどうか? と月島さんから提案があって、隠されたタイムリミットっておもしろいなと思ったので採用しました。
――その裏のタイムリミットと同じように、隠された要素ってありますか?
 わかりやすいところだと、Bルートの夏彦の時計の演出ですね。Bルートの日常は、悠里がセンシズ・シンパシーで夏彦に見せている“夏彦の記憶”なのですが、1日分の記憶を見せるごとに、現実では10分経過しています。あれくらいの長さの記憶を見るには、現実時間で10分かかるということです。記憶の回想から現実時間に戻る直前、壊れた時計の針が常に10分ずつ進んでいくので、未来に向かって進んでいる様子が現れています。
 あと、これは体験版から仕掛けられていたことですが、メッセージウィンドウの色やデザインが変わるギミックがあります。これは、シナリオを読み解くヒントになっています。
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■初めからメッセージウィンドウに答えが表示されていた!?
――メッセージウィンドウの色やデザインの変化は、どのようなタイミングで起こるのでしょう。
 メッセージウィンドウのキャラ名の下にラインがあるのですが、そのラインの色は、誰の視点で見ているかを表しているんです。夏彦の目線で見ている場面ではオレンジ、渡瀬だと青です。実はこれ、キャラの目の配色とリンクさせています。つまり、“その人の目から見た世界”なんだと。これは、ウィンドウをデザインしたスタッフからアイディアをいただきました。割り当てるイメージカラーに迷っていたら、「それぞれの目の色をベースにしては?」と提案してもらったのです。。
 RAM中でも、例えば、風見に意識を完全に重ねている時は彼女の視点になりますし、一歩引いて客観的に見ている時は、能力者の夏彦や悠里の色に変わります。なので、ものすごくデバッグが大変でしたね。たぶんないとは思うのですが、色間違いのミスがないよう労力をかけました。
 また、現在のリアルタイムな出来事が描かれているシーン(Aタイプ)と、センシズ・シンパシーによって記憶を見ているシーン(Bタイプ)、悪意や悠里による意図的な記憶改ざんシーン(Cタイプ)では、メッセージウィンドウのデザインが変わります。実は3種類あったんです。それが本当に起きていることなのか(=Aタイプ)、ただの回想なのか(=Aタイプ)、センシズ・シンパシーで見ている(または、見せられている)記憶なのか(=Bタイプ)、第三者に差し替えられた記憶なのか(=Cタイプ)、すべてメッセージウィンドウのデザインを見ればわかるようになっています。
 また、ねつ造された記憶に入る時と終わる時には「ザザッ」というノイズが挟まれます。いわゆる編集ポイントですね。これはわかりやすかったので、体験版でも「なんだろう、これは?」と気になった人も多かったですね。
――メッセージウィンドウのデザインや色を確認するために、もう1回プレイしたくなりました!
 どこからが現実でどこからがねつ造なのかは、再プレイした時に見てわかるようにしたかったんです。プレイする人にとっては見えているものが現実なので、それを後で「実はここは嘘でした」と言ってしまうのはフェアではありません。明らかに違和感を出したかったのでこのような仕様にしたのですが……体験版を出した時は製品発売前にバレないかとドキドキしていました(笑)。
 こういったギミックでも、シナリオ中の伏線でも、キャラクターデザインに込められた外見的なヒントでも、とくかくフェアでいこう、と心がけました。「ずるい! そんなのわかるわけない!」というのはナシにしたい、と。真相が明かされるタイミングよりも少しだけ早い段階で、推理の材料はそろっている。極端なことを言えば、種明かしをする前でも、鋭い人は気づけてしまうかもしれない。一歩間違うと、何もかも先が読めてつまらなくなりますが、うまく作用すれば、プレイヤーが推理と答え合わせを楽しめるものになると思いました。すごく集中して注意力を働かせていけば、知的な快感を得る楽しみもできる。あと、本編には直接関係のない、もはや考察レベル、というか、こういう捉え方もできる程度のことなので詳しくは述べませんが……“プレイヤーが自発的に気づかされてしまう”とか、“プレイヤーが真実を先読みして、結果が追いついてくる逆転現象”とか、この作品の世界観的には興味深い現象なのかなと思います。
 先ほど視点者の色についてお話しましたが、メインキャラは全部で9人なので9種類の色があります。それとは別に、10番目の色でグレーがあります。これは誰の色でもなく、完全な客観視──第三者視点の時に表示されます。ずばり言ってしまえば、ラボの中で芽生えた“意識さん”あるいは“自我情報力場”と呼ばれているものの視点です。なので、『ルートダブル』の本編はラボに閉じ込められた“自我情報力場”の視点を通した物語であり、すべてラボの中で展開している話です。Bルートなどはラボの外も描かれているではないかと思われるかもしれませんが、あれは夏彦の記憶を通して見ているだけです。
――“自我情報力場”の視点を通した物語、という部分についてもう少し解説していただいてもよろしいですか?
 『ルートダブル』は、ラボの事故発生をスタート地点として始まる物語ですよね。つまり、ラボの中に生じた“自我情報力場”の曖昧な記憶から始まり、それがだんだんと形になっていき、明瞭な意識を形作ったころからセンシズ・シンパシーが始まる。意識を通じ合わせる人たちに、少なからず影響を与えられるようになります。
 Aルートは、“夏彦が渡瀬の目を通して見ている”というのはある意味正解なのですが、ある意味では間違いなんです。なぜなら、Cルートをプレイすればわかる通り、渡瀬たちの行動を夏彦はぶつ切りでしか観測していません。本当にAルートを見ていたのは、渡瀬の目を通して見ている夏彦の目を通して見ている誰かなんです。入れ子構造ですね。
 その意識が、物語が進むにつれてますますキャラたちに関与していきます。そして徐々に情報を集積していきます。各キャラクターの過去を知り、気持ちを知り、周辺情報を知り……。TIPSに情報が増えていくのは、“自我情報力場”がいろんな人の記憶から情報の断片を集めて再構成している行為だと言えます。
 そして出口が開いて9人が脱出した後に、意識はどんどん拡散していって世界に溶け込んで均一化していきます。熱力学の第2法則ですね。言ってしまえば、WX粒子増幅器の暴走によって意識がおぼろげに芽生えた断片的なプロローグから始まり、それが時間を置いて確固たる意識になって感情を操作できる本編になり、すべてが終わったエピローグでは解き放たれた意識が拡散して薄れていって、それ以降は彼には認識できなくなる、という構造なんです。
 なのでプロローグからエンディングまで閉じた世界なんです。プロローグから前と、エンディングから後ろが見えないのは、彼が認識できないからなんですよ。もちろんエンディング以降も消えたわけではなく、広く行き渡り、どこにでもあまねく存在する……遍在する概念になったわけです。
――終盤で聞こえたテレパシーの残滓(ざんし)、エコーは彼によるものなのでしょうか?
 あの現象には複数の解釈ができるようになっているので、どれも否定はしません。ひょっとしたら、悠里の言っていた“サードマン現象”かもしれませんし、高濃度のBC粒子がもたらした情報エネルギーの残滓なのかもしれません。“自我情報力場”の“意識さん”が必要な情報を拾い集めたのかもしれません。あの現象の解釈は、皆さんにゆだねたいと思います。一番納得できるものを選んでください。
 また、TIPSをすべて見ることで確認できるもう1つの可能性があります。さらなる入れ子構造の考えです。その解釈をさらに拡大すると何が見えてくるのかは、本編には直接関係ない考察要素なので、興味がある人は考えを深めてみてください。
インタビューには、『ルートダブル』に関する致命的なネタバレが数多く含まれています。絶対にグランドエンディングを見てから読んでください。
■タイトル画面でスタートボタンを押した瞬間からRAMシステムは始まっている
――“自我情報力場”のお話を聞くと、本作が誰の物語なのかがわからなくなってきました。
 すべてが入れ子構造なんですよ。フラクタル模様のような“終わりのない入れ子構造”。表の主人公の渡瀬と夏彦が物語の視点者ですが、実はそれを裏から見ている誰かがいて、またそれを裏から見ている誰かがいて……。
 RAMシステムを経験すると気づくかもしれませんが、この物語の根底にいるのは一体誰なのかわからなくなってくるんですね。この考察のとっかかりはゲームシステム画面のレイアウトにもあります。ルート選択の画面、セーブロード画面、RAMシステム画面……レイアウトは酷似していると思います。
 そもそもルートを選択してゲームを始めた時点で、誰かの記憶の中にもぐったのかもしれません。ゲームのセーブ&ロードというのは、過去の記憶に戻ってその記憶に影響を与えているのかもしれない。いや、そもそも、それを操作しているプレイヤーだって、本当に現実の時間に属していると言えるのか……と思考は無限ループに陥ります。だから、何が本当に真実なのかは誰にもわからないんです。記憶が改ざんされたのかもしれないし、歪んだ記憶を直しているのかもしれません。
 それは終盤のRAMにも表れていて、表示メッセージに「それらの記憶の一部は、本当にあったことではなかったかもしれない。記憶を、夏彦が歪めてしまったのか……それともいま見たのが、本当の記憶なのか……夏彦には確認する術がない」という記述があるのですが、何が真実かは受け取る人間の解釈次第です。つまり、真実の正否を客観的に判断することは誰にもできないんです。
 記憶なんてものは、結局その人の中で移ろい変わっていくものです。RAMの中で、Aルートの場面が別の視点から描かれるシーンで、ここはAルートと違う出来事だからねつ造された記憶だ、と考えるのは実は早計で。ひょっとしたら、Aルートは渡瀬の記憶を見ていただけでそれは渡瀬の覚え方であり、実は風見の目を通して見た世界のほうが、より真実に近いのかもしれない。『ルートダブル』は、そんなメッセージが読み取れる物語なんです。
 “こうして人はすれ違い、誤解し合う生き物なのだから、相手を理解しようとする姿勢が大事なんだ”、ということが物語から見えてくるといいなと思っています。人と人って決定的にわかり合えないんです。脳という狭い中にしか世界を持っていないので、他の人の世界を絶対に見ることはできません。
――クオリアの概念ですね。メッセージウインドウのデザインや色で誰の視点かわかるというお話ですが、それ以外で、盛り込もうと思ったけど盛り込めなかったことはありますか?
 断念したものではないのですが、当初のイメージと変わってしまったところとしては、タイトル画面のデザインです。スタートボタンを押した瞬間からRAMシステムが始まる、ということがタイトル画面からわかるようにしたいと思っていました。ですが、見た目やその他いろいろな問題が解決できず、最終的に落ち着いたのが現在の誰もいない螺旋階段です。階段を上がる=誰かの意識に入っていく……というニュアンスが感じ取れるといいかなと。
 タイトル画面で流れるBGMはRAM中にも流れる曲ですしね。あそこからすべてが始まっていると感じてもらうために、意図してBC絡みで流す曲にしています。相当深読みしないと見えないことですし、これを知らなくても脱出劇の物語としてはなんの問題もありません。
 音楽やゲームシステム、表現、プレイヤーとその物語の触れ合い方など、ゲームというのは他の媒体と比べて非常に独特です。ゲームでしか表現できないものがある、と考えたのが本作の一番の制作意図かもしれませんね。
――ゲームでしか表現できないものというと、今回は特に物語とシステムの融合具合が素晴らしかったです。このシステムでなければ本作の物語はありえないし、本作のような物語でなければこのシステムはないという。
 今回のゲームシステムの出発点は、“選択肢以外の分岐システムを入れたい”気持ちからだったのですが、どうせなら“シナリオと融合させたい”と考えていました。そうして、自分が目指してきたゲームでしかできない物語とは何か? というところを突き詰めて考えて、ようやく本作で見えてきたところです。今回のシステムは賛否両論あると思いますが、「こういうやり方もあるんじゃないですか?」という提案の1つと思っていただければと。
――そういうAVGがどんどん増えてほしいですよね。
 そうですね。今回の“センシズ・シンパシー・システム”は、「難しい」、「簡単すぎる」、「選択肢でもよかったのでは?」と、実にさまざまな意見があるのですが、アンケートを収集した範囲では、4割以上が次回作でも“SSS”を採用してほしいと回答してくださいました。さらに、“SSS”でも選択肢でもない、他の新しいシステムを開発してほしい、という意見も3割の人からいただいています。つまり、約7割の人が“選択肢ではないシステムで遊ばせてほしい”と言っているんですよ。
――AVGに限らず、システムと物語が融合した作品はなかなか出てこないですからね。
 僕が初めてシステムとストーリーの融合で感動したのは『ゼノギアス』のセーブポイントでした。あれの真相を知った時は「これは美しい!」と感動したのを覚えています。当時の僕が知らなかっただけなのですが、AVGでは『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』というシステムと物語を高次元で融合させた作品があって。ただ、僕が最初に体験したのは『ゼノギアス』だったというだけで、『YU-NO』を先にプレイしていればもっと感動していたと思います。
――そう言えば、『ゼノブレイド』もものすごく物語とシステムが融合していましたね。
 感動しますよね。ゲームって、とらえようによってはただの作業でもあります。クリアするために1つ1つ障害を頑張って乗り越えるのですが、そこでストーリーとシステムが密接に絡むことによって、自分がやっていることへの手ごたえが高まるので、一気にゲーム世界に引っ張り込まれてしまいます。あの感動がたまらなく好きです。
――逆に、まったく関係ないシステムだと何も感じないです。
 とってつけたものだと、「なんでこんなことをやらされているんだろう?」と感じてしまいます。確かに、そのシステムによって緊迫感や分岐する幅が広がるのはおもしろい。だけど、それがなくても成り立つよね? となるものではなく、僕は+αが欲しいと思っています。
 選択肢ではないゲームシステムは、ユーザーさんに負担をかけるわけなんです。でも、それがストーリーを進めるためのただの障害ではなく、主人公自身が感じている葛藤として、その渦中にプレイヤーを放り込みかったんです。
インタビューには、『ルートダブル』に関する致命的なネタバレが数多く含まれています。絶対にグランドエンディングを見てから読んでください。
■悠里とましろの裏話、『びよビヨ』に隠された意味は?
――インタビューもそろそろ終盤ですが、まだ語っていない裏話はありますか?
 悠里とましろについての裏話があります。まずは悠里からお話すると、Bルートで悠里が幻覚という設定は、企画初期(BCの設定が定まり始めた段階)で決めていました。当初はBルートではただの幻覚で、夏彦が“シャルル・ボネ症候群”を発症したために見ている設定でした。そのうえで、悠里はラボに捕らわれていて、“初期情報:悠里は生きている→Bルートラスト:悠里は死んでいた! →Aルート:じゃあこの悠里は何者? →最終ルート:悠里はラボの地下で生きていた”と二転三転する構造はこのころから決まっていました。
 ですが、この設定を弊社のスタッフと打ち合わせしている時に説明したら、「幻覚を見ている夏彦が痛々しすぎるので、なんとかならないか?」と指摘されました。それに、本当の悠里と再会した時に幻との大きなギャップが発生して再会のうれしさが半減してしまうのではないか、と。
 そこで、「じゃあBルートの悠里は、本当の悠里がBCで見せている幻にしよう」と再設定しました。これなら夏彦はBCのせいで幻を見ているので、多少は解消されるかな、と。ただ、制作が進んでいくにつれて、そのままの設定だと“ラボの地下深くから夏彦の自宅までBCが使えてしまう”という問題が致命的になってきました。ようするに、悠里は夏彦にも誰にも容易にSOSを発信できてしまうのはマズイし、そこまで遠距離のBCが使えてしまうとシナリオ上で不都合だし、ラボの外までBCが届くのは、そもそも困るのです。
 そこで考え直したあげく、幻の悠里は、本当の悠里が記憶を書き換えた副作用で見えてしまったもので、年に1回、夏彦の記憶を悠里が調整してあげることで、本体とのギャップを取り除いてあげる、という設定に改めました。この時、夏彦は9年前の事故の後遺症がないか調べるために病院で検査すると認識しています。さらに、夏彦と悠里は、七夕伝説の彦星と織姫の関係に当てはめているので、7月7日の七夕の日にその記憶調整処理を行う=年に1回再会できる、ということにしました。美しい設定になったなあ、と思います。この7月7日の再会が悠里にはうれしい出来事なので、悠里は“病院の検査が好き”という設定になっているのです。ヘンテコな設定だなあ、と思った人も納得できますよね?
――続いて、ましろに関する裏話を教えてください。
 幻の悠里の“実在感”を出すためのギミックとして、ましろの使えるエンパシーを活用しているわけですが、当初は、ましろのエンパシーは“接触した対象まで使用できる”という設定でした。なので、ましろは“ボディタッチ魔”という設定で、ことあるごとにベタベタと夏彦に触ってくる女の子でした。
 そうして夏彦の心の声を聞いて、幻の悠里との会話を成立させているというわけで。ましろの動き方が個性的になるし、フェアな伏線(注意深く読み込む人は、十分気づけるレベル)になるかなと思っていたのですが、月島さんと打ち合わせをしていたら「ちょっと露骨すぎるのでは?」という懸念が生じまして。一旦はエンパシー設定そのものをカットして、ましろは空気を感じ取って会話したり、そもそも悠里と直接会話させない――つまりサリュと同じ扱いに変更したのですが、それだと会話が成り立たなすぎて、逆に露骨になってしまうということで、ましろの能力レベルを上げて、接触しなくてもエンパシーが届く設定に再変更されました。二転三転していい感じに落ち着いたと思っていますが、あのまま“ボディタッチ魔”のましろだったらどうなっていたかなあと、たまに妄想したりします。
――“ボディタッチ魔”のましろも見てみたかったです(笑)。ましろと言えば『超能力少女びよんど☆ビヨンド(以下、びよビヨ)』ですが、ドラマCD『びよビヨ』に隠された意味を教えてください。
 TIPSの中でズバリ書いたのですが、『びよビヨ』は政府から発信されたコミュニケーターを管理するための情操教育です。『びよビヨ』で描かれるのは、超能力というすごい能力があるけど、それはきっちりと管理しなければならないものだと。管理しないと能力が暴走して悪者が生まれてしまうので、超能力のことを正しく勉強しましょうね、というメッセージが込められています。
 『びよビヨ』の中では、ノーバディという悪者が出てきます。このノーバディ(Nobody)って、“N”なんですよねN化したコミュニケーターは、悪意を増幅して悪事を働く。こうなったら困るでしょ? と。ドラマCDの最後でなぞなぞが出されて、締めのひと言が「超能力は正しく使おうね」的なのはそのためです。「みんな暴走しないでね!」というメッセージですね(笑)。
 TIPSの中で、夏彦は今回の事件を振り返って『びよビヨ』の世界を疑似体験していたんだと感じた、と記述されています。『びよビヨ』は本編で起こる悲劇が寓話化された話なので、本編をクリアした後に聴くとおもしろいと思います。
■『ルートダブル』の入口をどんどん広げていきたい
――講演会で、“ルートダブルは大事に育てていくコンテンツ”というお話がありました。具体的に、今後どのように展開していくのか教えていただいてもよろしいでしょうか?
 現状、呼びかけているのが、まずゲーム以外のメディアでの表現ですね。ゲームでしか表現できない物語、というのが作品の根底にあるのですが、切り口を変えることで他のメディアでも表現できる物語にもなっていると思います。とてもおもしろい話ができたので、小説やコミック、そして映像と入口を広げていきたいです。原作はゲームですが、出発点はどこからでもいいと思うんです。それが横にどんどん広がるようにしていきたいですね。
――その施策はすでに動き始めているんですか?
 ノベライズはゲームが発売される前から、月島さんと、月島さんのマネージャーでもある伊佐さんという方が主導で動いてくださいました。他のものは具体的なところまでは到達していませんが、今後もいろいろなところに提案していきながら、やっていきたいと思います。
――ノベライズの新情報を教えていただいてもいいですか?
 この段階ではまだ言えないですね(笑)。小説ならではの切り口について、月島さんが頑張ってトライしているところです。気になる人は、発売日の8月2日をお楽しみに!
――メディアミックスとは違いますが、ゲーマーズアイコンなどのDLCのご予定はありますか?
 現状では予定が立っていませんが、ご要望がたくさん届いたら検討します。
インタビューには、『ルートダブル』に関する致命的なネタバレが数多く含まれています。絶対にグランドエンディングを見てから読んでください。
■『ルートダブル』ファンディスク発売の予定は?
――個人的に、グランドエンディング後の話、Qとの話などのサイドストーリーは読みたいです。
 そこも要望がたくさんあれば、ファンディスク的なサイドストーリーをやっていきたいですね。その辺りの需要を知りたくて、現在アンケートを実施しています。
――言っておいてなんですが、グランドエンディング後の話はものすごく難しそうですね。
 作りやすいのは過去でしょうね。まだ明らかになっていない過去や、横の話。Aルートの外側の話とかもやれそうです。
――ルートA’ですね。
 (笑)。なので本当に要望次第です。皆さんが求めていないものを、僕らが作りたいから作るというのはファンディスクのコンセプトとしては違うので。皆さんが見たい部分を凝縮して、くみ取って作りたいと思っています。
――グランドエンディング後の話を読みたいと言った理由ですが、今回のシナリオは同人ゲーム『キラークイーン』のような印象を受けたからです。CS版では巨悪を倒すようなシナリオがありますが、同人版では脱出のみでしたので。
 あの展開からはたしてどうなるかは、与えられた情報からご自由に想像してほしいです。まあ、気になりますよね(笑)。希望は込めてあるつもりです。彼らの宿願はいずれ叶うであろうと。今は違う道を歩んでいる渡瀬と夏彦も、もっともっと歩み寄れるのではないか? という人間への希望を感じ取ってもらえたらうれしいです。
――グッドエンド後の渡瀬は、やっぱり憎しみを思い出してしまうのでしょうか?
 グッドエンドBeforeのほうですね。あの後の解釈は、皆さんのご判断にゆだねます。余談ですが、BeforeとAfterの2種類のグッドエンドが一番いいエンディングだと言ってくださるユーザーさんやスタッフもいるんです。「グランドエンディングは好きじゃない。グッドエンドの余韻がいいんだ! これが自分の中のトゥルーエンドだ」って。
 先ほども言いましたが、企画当初は2つに道が分かれるグッドエンドが根底にありました。だから、人によっては、グッドのほうがスッキリするのかもしれません。それとは別に、よりエンターテイメントとして“第三の道”があってもいいだろう、新しく切り開いた道ができないだろうかと、月島さんと討議を重ねて、あのグランドエンディングが追加されました。
――グランドエンディングへの到達方法って、この現実世界では実現できない裏技ですよね。
 相当な裏技ですね。打ち合わせをしながら「この話、大団円なんて作れるのか?」と、僕も月島さんも途方に暮れていた時期がありました。
■夏彦はセンシズ・シンパシーを使いすぎ?
――発売後人気投票とは別に、アンケートでも好きなキャラを選べますが、現状、どのキャラが人気なのでしょうか?
 これはおそらく複数回答だったからだと思うのですが、割合として一番多いのが渡瀬ですね。ヒロインとしては、風見、悠里、サリュの割合が高いです。
――夏彦はいかがでしょう?
 夏彦は、まあまあという感じですね。今回の作品は、よりどちらの主人公に感情移入して、どちらの側で物語を見られるか、という要素があります。最終的には、「こっちの主人公が正義だ」と分かれてしかるべき話だと思うんです。そういう意味で、渡瀬の正義に感情移入している人が多いんだと思います。
――夏彦に関しては、終盤で能力を使いすぎではないか? という意見もありました。
 センシズ・シンパシーの扱いは気をつけたつもりだったのですが、まだ配慮が足りなかったかもしれません。センシズ・シンパシーはものすごい能力なので、万能性をなるべくなくしたい思いがあって、短所や隙をたくさん作りました。センシズ・シンパシー中の能力使用者は無防備な仮死状態になってしまうこと、記憶を消したら相手の脳を痛めつけてしまうこと、消した記憶はやがて戻ってしまうこと、記憶を重ね合わせれば重ね合わせるほど、自分の自我が失われてしまうこと、悪意を持っている人間に使うと、悪意が伝染してしまうこと。後は能力的な限界ですね。基本的な有効範囲が狭かったり、ADや絶縁体で簡単に無力化できてしまうせいでなかなか使えない、という設定にしました。それでも、使える時は使えてしまうんですよね。ゲームシステムと絡んでいるので、使用回数の制限も容易に設定できなかったので、難しいところでした。
――夏彦に関しては、私はあまり気になりませんでした。悪意に操作されていたとはいえ、渡瀬に何発も銃で撃たれているわけですし、大切な人の生命が脅かされているという状況、さらに16歳という年齢面もあります。それに、コミュニケーターってそういう存在だと思うんです。
 彼らは息を吸うように能力を使える存在なので、向かうべき道の先にあるもののために、さらに時間が差し迫っている状況を考えると、解決するためにはやむをえなかったんだとは思います。
 それでも、ご感想はあるがまま受け入れます。たくさんの人が展開に不満を抱いてしまったのならば、表現の配慮が足りなかったのかもしれません。次回作ではより一層気をつけます。ただ、僕らは“なんでもあり”な万能能力としてセンシズ・シンパシーを用意したわけではありませんでした。
――完璧人間ではないという夏彦の欠点部分は、人間を描いていたという意味で問題なかったと思っています。
 そういう意味では、どの人間も欠点だらけなんですよね。ものすごい聖人もいなければ、ものすごい悪人もいないというのが『ルートダブル』の物語なので。それぞれ譲れないものや大切なもの、人間ゆえの弱さも抱えて、迷いとか後悔など全部を抱えて生きている9人なんです。
 なので決定的な悪人を倒して終わり、という結末にはなっていないんです。逆に、1から10まで彼が言っていることは正しい、というキャラも作りませんでした。いろいろな視点で「この人の正義ってなんだろう?」とその人なりの立場に立って物語を見ると、また違った楽しみ方ができると思います。その人を主人公に物語を見ていくために、RAMを入れていますので。
――終わってみると全員が主人公でしたよね。
 それぞれを主人公として見て、視点ごとに肌触りがまったく違うような作品にしたので、ボリュームがものすごいことになっています。
■次以降のプロジェクトもおもしろいことをやります
――次回作の構想はすでにあるのでしょうか?
 『ルートダブル』以外のプロジェクトですが、すでに次の仕事へ着手しています。正式に制作スタートしたものから、まだ企画段階、妄想段階のものまでいろいろ動いています。発表をお待ちください。
――近いうちに発表はされますか?
 今はノーコメントとさせてください。意欲的な企画も考えているので、全部正式に制作できたらおもしろくなるだろうと思っています。
――楽しみにしています。それでは最後に、クリアした人に向けてメッセージをお願いいたします。
 『ルートダブル』はとらえ方や見方、立場などで受け取り方ががらっと変わる作品です。ちょっとした言葉使いやレトリックにも月島さんたちライターチームがものすごく気を使ってくださいましたし、みけおうさんたち作画やグラフィックのスタッフも細かい演出意図をくみ取って1枚1枚丁寧に仕上げてくださっています。声優さんも演出の意図をふまえて熱演しており、真相を知ってから聞き返すと味わい深いはずです。なので、いろいろな人と意見を交換したり、ブログなどの感想を読んだり、あるいはもう1回いろいろな気持ちをふまえたうえでプレイしてもらいたいです。ますます、本作のおもしろさが出てくると思います。そのために、サポート機能として“Answerモード”を入れているのです。
 一見、真相がわかりにくいシーンも、作中で読み解く情報が必ずあるはずです。逆に、全部わかりすぎてしまって考察し足りない人は、もっと細部まで目を向けてみてください。本作は、ストーリーの本筋はスッキリ解明していますが、ちょっと脇道にそれたエピソードや、間接的な要素には、想像力や推理力が試される部分が残っています。例の不発爆弾を起動したのは誰なのか? とかですね。あと、深読みレベルでは、2人の主人公の関係・役割は何を象徴しているのか? とか。 その手かがりとして、今回のインタビューでは、行間を少し埋める情報をちりばめました。まだ、あなたの気づかない『ルートダブル』のおもしろさが残っているかもしれません。
――それでは万が一のためにもう1つ。クリアしていないけど出来心でここまで読んでしまった人に向けてメッセージをお願いいたします(笑)。
 ここまで読んでしまった人ですか(笑)。ここまで細かく読んでしまうと、いろいろ失われてしまってもう楽しめないのでは? と思うかもしれません。ですが、ここで僕が言ったことは情報の一端でしかありませんので、プレイしてみると思いもよらなかったところがたくさんあると思います。これを1つの機会として、『ルートダブル』をプレイしてみてはどうかと検討してほしいと思います。『ルートダブル』はグランドエンディングを見て、そして実績を全部生めて終わるゲームではなく、いろいろな楽しみ方があります。『ルートダブル』を見かけた時は、この記事を思い出して、手に取ってもらえたら感激です。
――私もほとんどを知っている状態でプレイしてもおもしろかったので、ネタバレでおもしろさが阻害される作品ではないと思っています。
 ネタバレをされたらすべてが終わってしまう話ではなく、そこに行き着く過程が大事です。ぜひプレイしてほしいと思います。
(C)イエティ/Regista

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